蕪屋地酒情報

今年一年平穏に過ごせますように。。。

先月は京都でも記憶にないほどの大雪が降ったこの冬ですが、まだまだ寒い日が続いていますね。

今回久しぶりに「松の司」をオンリストしました。いつ以来だろうか。松の司は例年、にごり酒を年末年始に必ず扱っていましたがなにせ一升瓶しかないので、コロナの時期などは当然扱えるはずもなく。。。

今回は純米吟醸(山田錦55%精米)です。裏書きを見ると“日本酒度-1”と。

上立ちはそんなに果実的ということもないですが、控えめなラフランスにやや硬質感のある吟醸香。口に含むとややアルコールのシャープなキレが先に感じられ、そこから林檎(ジョナゴールドのようなやや酸味がありながら甘味がおだやかな)ような甘味とキレイな酸が感じられ、シャープさを感じさせながらその後にほのかに少し香ばしい麹香が上がってきて、最後は細いながら余韻として残るそれが心地いい。

ああ、これが松の司だったなー。全体のしっかりとした骨格と一連の味わい、滋賀のテロワールのレベルの高さは去ることながら「松の司」のレベルの高さはやっぱり素晴らしいなぁ。月並みな表現でいうと「洗練」さを感じずにはいられない。滋賀のお酒にある骨太さとかはっきりとした甘みと酸のコントラストも魅力的で味わい深いけれど、「松の司」はさらにそれを超えて洗練された「滋賀酒」になっているとさえ感じる。

さらに少し温度が上がってくると、今度はスターフルーツのようなトロピカルですっきりした甘味のニュアンスも感じながら完熟レモンのような酸も感じられる。ここで“日本酒度-1”を納得。

この果実的な酸は出汁との相性も悪くない。油物と合わせると上品な吟醸香が上がってくるではないですか。細かいところまでしっかりと作りこまれている感じ。飲んでウキウキしますよねぇ、こういうお酒は。

この山田錦も滋賀県産なのだと思っているのですが、前にも滋賀酒のレベルの高さを取り上げたように滋賀は山田錦もそうですし、その父系種である短稈渡船や吟吹雪をはじめとした滋賀県の固有種に、かつての「基準米」日本晴れなど実にバラエティーに富んだお米の産地でもあります。それは琵琶湖という日本一の湖に鈴鹿山系の伏流水と、米作りから酒造りまで一貫した豊かな「水」によって育まれるものであり、米と水と酒というものを1つの線で結ぶ土地の恵みそのものです。それを「いただく」ありがたみは日本人としての細胞が黙ってはいられません。

今年は定期的に松の司をいろいろ扱いたい、そして年末にはにごり酒を飲んで、、、あるべき平和な一年がすごせるといいなぁと今年一年の平穏無事まで祈らせてしまう松の司に乾杯(完敗)であります。

 

関連記事

TOP